信州のお盆行事
こんにちは!ワーカーのcacaoです。
毎日暑い日が続きますが、朝晩は気温も下がり、比較的過ごしやすい信州。それでも、熱中症は気が付かないうちに悪化していることもあるので、水分補給や適度な休息・睡眠をとって、元気に夏を過ごしたいですね。
さて、今日は信州の中南部に伝わる「どんぶや」という行事を紹介します。どんぶやとは、お盆に子供たちが「まんど(万燈 )」と呼ばれる藁(わら)を束ねた物に火をつけ、「どんぶや、さんぶや」というかけ声とともに大きく回して、勢いよく燃える炎でご先祖様を迎えたり送ったりする、地域特有の子供行事だそう。私の住む地域では13日の夕方から夜のはじめに行われます。地域によっては13日に迎え万燈、14日~15日はご馳走万燈、16日には送り万燈と、お盆中毎日やるところもあるそうです。
迎え火と言えば、白樺の木の皮を乾燥させた「かんば」を玄関先で焚いたりする方が、信州で広く親しまれているかもしれませんね。 ご先祖さまが迷わず帰って来られるようにするという意味では、どんぶやも同じです。それでは、どんぶやとはどんなものでしょうか?
まんどづくり
迎え盆にあたる8月13日。日が傾き、昼間の暑さが少し和らぐ頃、まんどづくりは始まります。藁(わら)の束3~4個を、同じく藁(わら)で作った縄で縛り、持ち手を長く残します。今の子供たちは、「縛る」ということもなかなか上手にできません。でもこの時の縛り方が弱いと、振り回す時に崩れてしまったり、飛んで行ってしまったりと危ないので、先生に教わりながら慎重に作ります。昔は麦の藁(わら)で作ることが多かったのですが、近年の耕作事情により今は稲の藁(わら)も使うのだとか。先生のお話では、麦の藁(わら)の方が炎も大きく、燃える時にパチパチといい音がするんだそうです。
まんどまわし
みんなのまんどが完成する頃、日も落ちて薄暗くなってきたら、まんどまわしの始まりです。焚火でまんどに火をつけ、頭の上を大きく振り回します。この時にまわりの人たちは「どーんぶや、さーんぶや」と声をかけ、ご先祖様を迎えます。このかけ声の意味は、書物を調べたり先生に聞いても残念ながらわかりませんでした。地域によってかけ声にも違いがあり、「どんぶりやのからすや」や「どんぶやまんど、むかえ(おくり)まんど」などというところもあるそうです。
一度に複数人で一斉に回す地域もあり、それはもうすごい迫力です。ひとりでも想像以上に大きな炎があがるので、回している子供はもちろん、見ている大人もドキドキします。火に触れることもほとんどない今の子供たち。怖がりながらも立派にまんどを回した経験は、大人になってもきっと忘れられない思い出になるでしょう。
まんどまわしのあとは…
まんどの炎が小さくなったら焚火に置き無事終了です。まんどは燃え尽きて天に昇ります。全員が無事にまわし終わると、小さな子供たちもお待ちかねの花火タイムです。用意した手持ち花火をもらい、思い思いに花火を楽しみます。人に向けない、振り回さない、自然と子供同士で注意し合います。花火の火と、賑やかな子供たちの声に誘われて、ご先祖様も笑顔で帰ってきてくれるでしょうか?
私の住む地域では、昨年は新型コロナ感染症蔓延防止のため残念ながら中止となりました。それでなくても、まんどづくりを教えられる人が少なくなってきたり、安全面の不安から徐々にこういう行事をしなくなる地域も多いそうです。なかなか刺激的な行事ですが、子どもたちの夏の思い出のひとつとして、残ってくれるといいなぁと思います。そのためには、まず私たち親世代がまんどづくりをマスターしないといけませんね。
みなさんの地域ではどんなお盆行事があるでしょうか?夏休みに周りのひとと話してみたり、調べてみたりするもの面白いかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。