私の”ちいさな伊那谷暮らし”
激動の2020年も、残すところあと僅かとなりました。
「『あたらしい生活様式』へのシフトにともなう慣れない暮らしに、戸惑うことの多い大変な1年だったように思います」
…と、書こうとしたのですが。
ふと引っかかるものを感じ、手を止めました。
確かに変化の激しい日々に戸惑うことは多かったものの、今年は今年で楽しく充実した1年だったように思えるのです。
そう思えるのは、「新しく挑戦したこと」が昨年に負けず劣らず多かったこと、そして「身近なものを見つめ直して良いところを発見する機会」が、とても多かったせいかもしれません。
例えばこちらのブログに書いたことでいえば、「伊那谷のお雑煮」について考えた1月から始まり…
ティーコージーを作るべく棒編みに挑戦し、敢え無く撃沈した2月。
昨年の失敗に学び、野菜の栽培計画を作ってみた3月。
4月は、その可愛らしい姿と鳴き声で自粛生活の心を癒してくれた、自宅周辺の野鳥達について調べ…
ご近所の田植え作業を見て、美味しいお米が食べられる幸せと感謝を改めて感じた5月。
6月は、梅雨と同時に畑の虫達との戦いが始まった月でした。トラブル続出により、初めて目分量で梅酒を仕込んだ月でもあります。
個性豊かな「野菜の花」に魅了された7月。
いつも作業を助けてくれる、便利で大切な農機具への愛着が深まった8月。
朝顔のグリーンカーテンに挑戦して失敗したのは9月でしたね…。庭と畑に花が絶えない光景を夢見て、我が家の理想の「花暦」について考えたのも、同じく9月でした。
カメラ講座を受講し、学びたいことがまたひとつ増えた10月。
「昭和型板ガラス」をはじめ、古い家ならではの魅力を再発見した11月。
それからこちらのブログには書いていませんが、自宅内の壁を自分で塗装してみたり、紫陽花の挿し木や多肉植物の植え替えをしてみたり、落花生の栽培に初挑戦し、殻の内側にくっついている未熟果部分(?)がとても甘くて美味しいことを発見したり。
他にも…
新しく農地をお借りしたり、頂いた鹿肉と熊肉をおっかなびっくり調理したり、新しい分野の仕事に挑戦する為、イチから勉強を始めたり…。
「こんな時だからこそ出来る、何か新しいことに挑戦しよう!」
…なんて殊勝なことは、全く考えていなかったのですが。こうして振り返ってみると、行動力の無い私にしては大きなことから小さなことまで、結果的に多くのことに挑戦してきたなぁと感じています。
それというのも、ここ伊那谷での暮らしが、そうさせるのかもしれません。
古いけれど大切に住まわれてきたことがわかる、好きに改装できる一軒家。育ててみたいと思った花や作物をすぐに植えられる、自由に使える土。
家の外に目を向ければ、広い空(冬は星がとても綺麗!)、雄大な山々、心落ち着く川の流れ、可愛らしい鳥や動物たち。
私にとってここでの暮らしは、「やってみたいこと」や「新たな魅力の再発見」が尽きません。
もともと出不精で家で過ごすことが好き、ということもありますが…外出自粛要請下の暮らしでも十分に楽しかったと思えるのは、この家と、そしてこの土地だからなのかもしれません。
今年1月に初投稿した記事に書いた通り、伊那谷での暮らしを“私の目線”というごく狭い観測範囲の中で、1年に渡って綴らせて頂きました。
ご紹介したのは、特筆できるようなお洒落な古民家暮らしでもなく、もちろん丁寧で素敵な暮らしでもなく。
レトロなガラスと襖に囲まれた懐かしい“昭和のお家”で、虫に怯え、慣れない野良仕事に四苦八苦し、初めてのことに挑戦しては失敗して撃沈する…を繰り返し、時には身近な花や鳥を愛でたりもする。
何か目立ったことをするでもない。この土地で”ただ暮らしているだけ”の私の、でも何気無いちいさな幸せが詰まった日々の一部です。
『これからも、この”家から半径50メートルのちいさな暮らし”を大切にしつつ、穏やかに暮らしていきたい』
それが、いまの願いです。
1年間、お読みくださいましてありがとうございました!
それでは少し早いですが、どうぞ良いお年をお迎えください。